あなたは公的年金収入が400万円以下なら、確定申告をしなくてもいいということを聞いたことがあるでしょうか。
この話は間違いではありません。
でも、確定申告をしなくてもいいだけで、何も申告をしないと損をしてしまう可能性があります。
公的年金を受給している場合に、あなたがどのような選択をすればいいかをファイナンシャルプランナーのSが解説していきます。
✅公的年金収入400万円以下で、そのほかの所得が20万円以下なら確定申告は不要
✅確定申告しないことで損をする場合がある
✅確定申告で還付を受けられるなら確定申告をしよう
✅確定申告をしなくても、控除があるなら住民税申告をしよう
これらの結論をもとに、順番に解説していきますね
ご家族に年金受給者の方がいる場合には、ぜひ教えてあげてください
公的年金収入の申告不要制度とは
平成23年より前は、公的年金収入がある方も、年間の収入金額や受けられる控除に応じて確定申告が必要でした。
平成23年以降は、年金受給者の負担を減らすために、一定の要件に該当する方について、確定申告をしなくてもいいように制度がもうけられています。
この制度を「公的年金等に係る確定申告不要制度」といいます。
昔は公的年金だけしか収入がなくても申告が必要だったんだね〜
年金をもらっている人に配慮した改正がなされて現在にいたっているんだよ
制度の対象になるのはどんな人?
確定申告不要制度の対象となるのは、次の2つの要件のどちらにも該当する方です。
公的年金等(※1)の収入金額が400万円以下であること
ただし、源泉徴収の対象とならない年金(※2)を受けている場合には確定申告不要制度を使うことはできません。
公的年金等の所得と退職所得以外の所得金額が20万円以下であること
※1:公的年金等とは
国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金や恩給、確定企業給付金など
※2:源泉徴収の対象とならない年金
外国において支払われる公的年金等
源泉徴収の対象とならない年金って、金額の少なくて税金が引かれてない年金や遺族年金、障害年金なんかも含まれるのかな〜❓
基礎年金や厚生年金などは、金額などによって源泉徴収されないけど、もともとは源泉徴収の対象の年金だから申告不要制度を使えるよ!
遺族年金や障害年金は、非課税の年金だから、確定申告には影響がないね
計算上、納付が発生する場合でも確定申告不要
確定申告不要といっても、計算してみて所得税の納付が発生しそうだと、どうしても焦ってしまうかもしれません。
でも、そのような方も確定申告不要制度の要件を満たしているなら、確定申告をする必要はないので安心してください。
あくまで、源泉徴収の対象とならない年金がある場合や、公的年金等以外に20万円を超える所得がある場合に、確定申告が必要となります。
計算上で所得税が出そうでも、条件を満たしていれば確定申告はいらないんだね❗️
確定申告不要の条件を満たしているかどうかが重要なところだね
還付金が出る場合には確定申告しよう
公的年金収入400万円以下で、他の所得が20万円以下に該当しているなら、全員が確定申告をしなくていいとは限りません。
むしろ、確定申告をしないことで損をしてしまう人がいます。
それは、確定申告で控除の申告をすることで、公的年金から引かれていた所得税が還付される人です。
所得税の還付金が出るかは、実際に計算してみないとわかりませんが、一度確認しておくといいでしょう。
引かれてた税金が返ってくる人は、申告しないと損ってこと❓
確定申告をしないと還付金は出ないから、そういう場合は確定申告をしないと損だね
所得税が還付される可能性があるのはどんな人?
公的年金を受け取っている人には、年金額や扶養の状況によって、所得税が源泉徴収されている人がいます。
また、公的年金では源泉徴収されていなくても、別に受け取っている個人年金などで源泉徴収されている場合があります。
そのような人は、扶養の追加や医療費控除、生命保険料控除などを確定申告で適用することで、あらかじめ引かれた所得税の還付を受けられる可能性があります。
年金から所得税が引かれてたら、還付金が出る可能性があるってこと❓
確定申告で控除を追加する場合には還付金が出る可能性があるね
自分で確定申告が難しいなら自治体の確定申告会場へ行こう
確定申告と聞くと、難しそうと感じると思います。
特に会社勤めだった人は、自分で確定申告をするにも、何から始めていいかもわからないということも多いでしょう。
そんな時には、自治体で開設する確定申告会場で手続きするのがおすすめです。
確定申告って、税務署でしかできないと思ってたよ
税務署から許可を与えられて、自治体では一定の期間だけ確定申告の受付をしているんだよ
確定申告時期になると、ほとんどの自治体が確定申告相談会場を設けて、確定申告書の作成をサポートしてくれます。
ただし、自治体の確定申告会場で確定申告をする場合には、次の点に注意が必要です。
青色申告は受付けできない
自治体によっては白色申告でも対応できない内容がある
来場者が多いので待ち時間が長い
青色申告を受け付けてもらえないとか、いろいろ注意点があるんだね〜
税務署も同じかもしれないけど、待ち時間も長めだから気をつけたいね
所得税に影響がなくても住民税申告をする方がいいケースも
所得税の還付金が出ない人や、確定申告をすると所得税が発生してしまう人は、何もしない方がいいのでしょうか?
実は、人によっては、住民税申告をしないと損をするケースがあるんです。
確定申告をすると税金が発生するが、医療費控除や生命保険料控除などを受けられる人
住民税の所得割がかかる人で、医療費控除や生命保険料控除などの控除を受けられる人
年金の現況届で届出していない人を税金の扶養に入れたい人
所得税に関係ないのに、住民税申告しないと損をするの❓
所得税がかからないからと安心するのは少し早いね
どうして住民税申告が必要なの?
公的年金には、給与のように年末調整がありません。
現況届の際に、配偶者の方などを扶養に入れることはできますが、扶養に入れるのを忘れていたり、そのほかの控除を受けたい場合には申告をする必要があります。
確定申告をしない場合、住民税では追加で受けたい控除を受けることができません。
そのため、住民税申告をして控除を追加する必要があるんです。
扶養は現況届で入れられるけど、ほかの控除は申告しないと入れられないのか〜
住民税を安くしたいなら、住民税申告で控除を足さないといけないんだよ
どうすれば住民税申告が必要かわかるの?
自分が住民税申告が必要なのかを確認するためには、いくつか方法があります。
自治体の窓口で確認する
源泉徴収票などの資料を持参して、自治体の住民税担当窓口で確認すれば、確定申告をする必要があるか、住民税申告だけでいいか、申告自体が不要なのかをおおまかに教えてもらえます。
ただし、自治体の確定申告の受付が始まってしまうと、窓口に住民税担当がいない場合が多くなるので、確定申告時期よりも前に確認する必要があります。
確認するなら確定申告期間の前じゃないと厳しそうだね〜
確定申告期間は、日中に住民税担当が窓口にいないということは多いからね
自治体の確定申告会場で確定申告を受けてみる
どうなるかわからないのであれば、自治体の確定申告会場で確定申告をしてみるのも1つの方法です。
確定申告会場へ行くこと自体が経験になりますし、確定申告が必要な人には確定申告書、住民税申告だけでいい人には住民税申告書を作成してもらえますし、申告自体が不要な人にはその旨を案内してもらえます。
ただ、確定申告会場では多くの人が来場するため、1人にかけられる時間が少なく、必要な案内が行き届かない可能性があるので注意しましょう。
下手に悩まずに、自治体の確定申告会場で申告してみようってことだね❗️
1度自分で体験すれば、来年度以降にも活かせるからね
自分で住民税を試算してみる
一部の自治体では、住民税を試算できる住民税シミュレーションシステムを公開しています。
そのシステムを使って、自分で住民税を試算してみるという方法があります。
控除を入れない場合と控除を追加する場合を比較して、住民税が下がるのであれば住民税申告をしましょう。
住民税シミュレーションシステムなら、比較的簡易に住民税を試算することができます。
興味のある人は、1度挑戦してみましょう。
どこで、いつまでに住民税申告をすればいいの?
住民税申告が必要な場合には、どこで、いつまでに申告すれば良いのでしょうか。
基本的には、住民税の申告期間は、確定申告と同じ2月中旬から3月中旬までです。
この期間であれば、自治体の確定申告会場で申告の手続きをするようにしましょう。
確定申告の期間と同じくらいの期間なんだね〜
確定申告と住民税申告をあわせて受付けしているからね
自治体の確定申告会場の場所や開設時期は、自治体の広報誌やホームページなどでお知らせされているので確認してみましょう。
では、3月中旬までに住民税申告ができなかった人はどうすれば良いのでしょうか。
確定申告会場が閉鎖されてからの住民税申告は、自治体の住民税担当窓口で手続きすることができます。
申告期間を過ぎても、住民税申告は受け付けてもらえるんだね〜
住民税申告は、自治体窓口で受け付けてもらえるんだけど…
ただし、確定申告期間を過ぎると、自治体の窓口では所得税の確定申告を受付けできなくなるので注意しましょう。
住民税は、さまざまな料金や手続きに影響します。
期限後申告となる場合でも、できるだけ早めに申告をしたいですね。
確定申告期間を過ぎると、自治体では確定申告を受付けてもらえないのか〜
所得税が関係する人は、申告期間内に申告しないといけないね
まとめ
それでは、今回のまとめです。
✅公的年金収入が400万円以下で、その他の所得が20万円以下なら確定申告をしなくてもいい
✅確定申告や住民税申告をしないと税金が高くなる人がいるので要注意
✅公的年金から所得税が源泉徴収されていて、確定申告で還付金が出るなら確定申告をしよう
✅確定申告で還付金が出ない場合でも、申告により受けられる控除があるなら住民税申告をしよう
✅確定申告・住民税申告は、自治体の申告会場を活用しよう
公的年金収入だけの人は、毎年の状況が大きく変わらないということが多いと思います。
あなたが申告したほうがいいのか、はじめに確認するようにしたいですね。
また、収入状況や扶養などの状況が大きく変わる時は、自治体に申告が必要なのかを確認するといいでしょう。
確定申告不要という言葉に惑わされず、損をしない選択をしたいですね。
年金の申告をしたほうがいいかを家族に伝えてくるよ❗️
そうと決まれば「猪突猛進❗️」
損をしないような選択をしたいね。
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