事故や病気などで、重い障害をかかえることは、誰にでも起こりえることです。
そんなときに、経済的なサポートを受けられる支援制度や割引制度を知らないと、不安に感じたり、過剰に備えたりしてしまうかもしれません。
この記事では、重度障害を負った場合に受けられる、主な支援制度について解説していきます。
ディスプレイ✅障害年金や障害者への手当で生活がサポートされる
✅重度の障害者への医療費給付制度で病院に通うのも安心
✅自動車税や有料道路料金が安くなる
✅交通機関などの料金が割引に
✅お住まいの自治体の独自の支援制度を確認しよう

これらについて、順番に解説して行きますね
障害を負ったときに受給できる障害年金について知ろう
障害年金は、病気やケガによって、生活や仕事などに制限を受けるようになった場合に、もらうことができる年金です。
この障害年金は、現役世代でも、一定の障害状態になれば受給できる年金なのです。
障害年金には、次の2つの種類があります。


障害年金って、老後にならなくてももらえるの?

障害年金は、一定の条件を満たしていれば、現役世代でももらえる年金だよ
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金がある
障害基礎年金は、障害の程度によって、障害基礎年金2級と1級があります。
障害基礎年金は、国民年金や厚生年金の別に関わらず、年金保険料を支払っている人が、一定の障害状態になったときにもらえるものです。
障害厚生年金は、会社員や公務員など、厚生年金保険料支払っている人が、一定の障害になった時にもらえるものです。
障害厚生年金は、障害の程度により、3級から1級までの障害厚生年金があります。
また、障害年金に該当しなくても、障害手当金として、一時金を受給できる可能性があるので、悩んだら年金事務所などに確認してみましょう。

障害年金って、ふたつの種類があるんだね~

その中でも、等級や、子どもや配偶者がいるかによって、もらえる金額が変わってくるんだよ
障害年金は、どの程度の障害で受給できるの
障害年金の1級は、他人の介助を常時必要とする状態、2級は、日常生活が制限されるほどの障害状態になった場合が対象です。
障害厚生年金の3級は、日常生活を送れるけれど、仕事をするのに制限がかかってしまうような状態です。
障害の程度別に分けると下記のようなイメージになります。
等級 | 障害の程度 |
---|---|
1級 | ◎日常生活が不能な状態(常時介護が必要) 〇具体例 1.両眼の視力の和が 0.04 以下のもの 2.両耳の聴力レベルが 100 デシベル以上のもの 3.両上肢の機能に著しい障害を有するもの 4.両上肢のすべての指を欠くもの 5.両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの 6.両下肢の機能に著しい障害を有するもの 7.両下肢を足関節以上で欠くもの 8.体幹の機能に座っていることができない程度又は立ちあがることができない程度の障害を有するもの など |
2級 | ◎日常生活が著しく制限される状態(自力での生活が困難) 〇具体例 1.両眼の視力の和が 0.05 以上 0.08 以下のもの 2.両耳の聴力レベルが 90 デシベル以上のもの 3.平衡機能に著しい障害を有するもの 4.そしゃくの機能を欠くもの 5.音声又は言語機能に著しい障害を有するもの 6.両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの 7.両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの 8.一上肢の機能に著しい障害を有するもの 9.一上肢のすべての指を欠くもの 10.一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの 11.両下肢のすべての指を欠くもの 12.一下肢の機能に著しい障害を有するもの 13.一下肢を足関節以上で欠くもの 14.体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの など |
3級(障害厚生年金のみ) | ◎労働に制限を受ける状態 〇具体例 1.片目視力0.1以下 2.両眼の視力が 0.1 以下に減じたもの 3.両耳の聴力が、40 センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの 4.そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの 5.脊柱の機能に著しい障害を残すもの 6.一上肢の 3 大関節のうち、2 関節の用を廃したもの 7.一下肢の 3 大関節のうち、2 関節の用を廃したもの 8.長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの 9.一上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の 3 指以上を失ったもの 10.おや指及びひとさし指を併せ一上肢の 4 指の用を廃したもの 11.一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの 両下肢の 10 趾の用を廃したもの など |
障害手当金 | ◎労働に制限を受ける状態(治癒後の後遺症など) 〇具体例 1.両眼の視力が 0.6 以下に減じたもの 2.1眼の視力が 0.1 以下に減じたもの 3.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 4.両眼による視野が 2 分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が 10 度以内のもの 5.両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの 6.1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの 7.そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの 8.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 9.脊柱の機能に障害を残すもの 10.一上肢の 3 大関節のうち、1 関節に著しい機能障害を残すもの 11.一下肢の 3 大関節のうち、1 関節に著しい機能障害を残すもの 12.一下肢を 3 センチメートル以上短縮したもの 13.長管状骨に著しい転位変形を残すもの 14.一上肢の 2 指以上を失ったもの 15.一上肢のひとさし指を失ったもの 16.一上肢の 3 指以上の用を廃したもの 17.ひとさし指を併せ一上肢の 2 指の用を廃したもの 18.一上肢のおや指の用を廃したもの 19.一下肢の第1趾又は他の 4 趾以上を失ったもの 20.一下肢の 5 趾の用を廃したもの など |

ことばが難しくてよくわからないけど、けっこうひどい状態じゃないと障害年金はもらえなそうな感じかな~

たしかに条件は厳しいけど、3級や障害手当金に該当することもあるから、迷ったら年金事務所などに確認してみよう
障害年金を受給できる条件は
障害年金を受給するためには、大きく3つの条件を満たすことが必要です。
✅病気や怪我で医師などに初めて診察をしてもらった初診日を証明できること
✅初診日に国民年金や厚生年金に加入しており、加入期間の2/3以上の期間、年金保険料収めていること、または直前1年以内に未納がない場合も可
✅初診日から1年6か月経過した日または、その期間内に、病気や怪我の症状が固定し、これ以上治療しても効果が期待できない状態になった日(障害認定日)に障害状態であること

障害年金をもらうのに、いろいろ条件があるんだね~

自分で判断するのは難しいと思うから、年金事務所や社会保険労務士さんなどに確認してみようね
障害年金はどれくらいもらえるの?
障害基礎年金は、基礎年金の金額をベースに、子どもの人数によって加算があります。
また、1級の場合には、ベースの金額が1.25倍の計算になります。
障害基礎年金の 等級 | 受給額 | 子ども1人当たりの加算額 |
---|---|---|
1級 | 1,039,625円 | ・1人目と2人目 →各239,300円 ・3人目以降 →各79,800円 |
2級 | 831,700円 |
障害厚生年金は、平均標準報酬×加入月数×5.481/1000(2003年3月まで)または7.125/1000(2003年4」月以降)で計算され、加入月数が300月に満たないときには、300月加入しているものとみなして計算されます。
また、1級、2級では配偶者がいれば、配偶者加給年金が加算され、1級はベースの金額が1.25倍で計算されます。
障害厚生年金の 等級 | 受給額 | 配偶者加給年金 |
---|---|---|
1級 | 報酬比例の年金額×1.25 | 239,300円 |
2級 | 報酬比例の年金額 | |
3級 | 報酬比例の年金額 | なし |
障害手当金 | 報酬比例の年金額×2 | なし |

障害年金って、こういうふうに計算されてるんだね~

これはおおまかなイメージだから、ちゃんと知りたいときは、年金事務所に自分がどれくらい障害年金をもらえるかを確認してみよう
役所で手続きをしよう
障害年金の申請は、お住まいを管轄している年金事務所や市区町村役場で申請できます。
初診日を証明する診断書や病歴・就労状況申立書など必要書類を準備して、役所で障害年金受給の手続きをしましょう。

市役所とかでも手続きできるんだね~

あらかじめ連絡してから、手続きに行くといいよ
重度障害者は医療費負担の助成が受けられる
障害をおったときに、心配になるのが医療費ですよね。
定期的に病院に通うなど、出費が負担になるかもしれません。
自治体によって、若干違いはありますが、重度障害を負った場合には、医療費が助成される仕組みがあるのです。

障害を持つと、医療費がめちゃくちゃかかりそうな気がするよ~

条件はあるけど、重度障害があると医療費の助成を受けられるよ
どんな人が助成の対象?
自治体によって、若干対象が変わりますが、おおむね次のような人が助成の対象になります。
条件 | |
---|---|
いずれか | 身体障害者手帳1級または2級所持者 |
療育手帳A(重度)所持者 | |
精神障害者保健福祉手帳1級所持者 | |
特定医療費(指定難病)受給者証を所持し、障害年金1級に該当する人 | |
必須 | 所得制限額以下であること 例:扶養人数0人の場合472万1千円以下 |
これらの条件にあてはまる人は、自治体の障害担当窓口で相談するようにしましょう。

けっこう条件があるけど、当てはまっていれば医療費の助成が受けられるんだね~

所得制限はみんなが対象だけど、障害者手帳などの所有は、いずれかを持っていれば対象になるよ
どういう助成を受けられるの?
障害者医療費助成制度は、自治体によって助成内容が変わります。
しかし、保険診療の医療費自己負担の全部または一部を助成するというものが多くなっています。
一度、医療機関で医療費を支払い、自治体で手続きすることで、あとから医療費が振り込まれるというものが多いでしょう。

医療費を払っても、あとから助成してもらえるんだね~

最初から医療費が減るわけではないことは、注意が必要だね
自治体の例を見てみましょう。
あなたのお住まいの自治体では、内容が違う可能性があるので、自治体のホームページや自治体の障害サービス担当部署に確認してみてくださいね。
アドセンス記事内自動車税の減免や有料道路料金の割引を受けよう
一定の障害がある場合、手続きをすることで、自動車税がかからなくなったり、有料道路料金の割引きを受けたりすることができます。
しかし、手続きをしなければ、税金や有料道路料金を、普通に支払うことになってしまいます。

自動車関連の減免や割引きを受けられるんだね~

手続きをしないと、通常通り支払いが必要になるから、ちゃんと手続きしようね
自動車税の減免を受けられる条件は?
自動車税の減免を受けられる条件は、都道府県によって若干変わります。
東京都を参考に、減免の条件を見てみましょう。
障害によっては本人が運転しなくても減免を受けられる
自動車税の減免を受けるために、障害者本人が運転しないといけないと思うかもしれません。
基本的には、障害者ご本人が運転する自動車1台のみが、減免対象になります。
ただし、身体障害1・2級など重度の場合は、通勤・通院・通学などご本人のために、家族が運転する自動車でも、減免を受けることができます。

自分で運転しないと、減免されないと思ってたよ~

障害によっては、自分で運転できないものがあるから、ご家族の運転でも減免されるように配慮されているんだね
自動車を複数持っている場合は1番税金の高いものを減免してもらおう
自動車税の障害者の減免は、複数の自動車があっても1台のみが対象なので、税金が1番高い自動車の自動車税を減免する手続きをしましょう。
自動車税と軽自動車税では、手続きをする場所が違います。
自動車税は都道府県税事務所、軽自動車税は自治体の窓口での手続き
手続きする場所が違うので、どちらでも手続きしてしまうことがあるかもしれませんが、1台分しか減免を受けられないので、間違えて複数台分を手続きしないように気をつけましょう。

何台か車を持っていたら、どれを減免してもらうか迷いそ~

1番税金が高い車の減免手続きをしよう
軽自動車と普通自動車なら、税金の高い普通自動車を減免対象として選ぼうね
有料道路代が割引される
重度障害をかかえた場合、手続きをすることで、高速道路などの有料道路代が割引されます。
全国の高速道路会社共通で、事前登録した車1台に限り、有料道路料金が50%割引になるのです。

これって高速道路料金が、半額になるってことだよね~

ETCの場合は、ETC料金から半額になるよ
有料道路代の割引の対象は?
有料道路代の割引きの対象範囲は、自動車税の減免対象範囲とは違います。
また、登録できる自動車は、障害のある方1人につき1台です。
また、本人が運転する場合と、ご家族などが介護運転する場合で、対象となる車の所有者の範囲が変わります。
自治体の福祉窓口で手続きしよう
有料道路代の割引きの手続きは、自治体の福祉担当の窓口か、オンラインで事前に手続きが必要になります。
また、割引有効期限が過ぎたあとも、引き続き割引きを受ける場合や、登録事項に変更が生じた場合も上記で手続きが必要になります。
有料道路代の割引きを受けられるように、忘れずに手続きしましょう。

オンラインでも手続きできるんだね~

オンラインで手続きできる人は、自分でオンラインから、自分で手続きが難しい人は、自治体の窓口で手続きしよう
交通機関の料金が割引に
一定の障害があることで割引きを受けられるのは、有料道路だけではありません。
電車やバス、航空機の料金も、割引になる可能性があります。
場合によっては、障害をお持ちのご本人だけではなく、介護するご家族も割引きを受けられるので、有効に活用したいですね。

いろんな交通機関が割引されると、移動するときに助かるね~

電車やバスは、通院や買い物などでもよく使うと思うから、覚えておきたいね
電車の運賃が割引される
JR東日本などでは、一定の障害を持っている人に対して、電車運賃の割引をしています。
要件に該当する人が、きちんと手続きをすれば、ご本人や介護をするご家族の電車運賃が50%減額されますよ。
障害者手帳などをお持ちいただいて、JRの窓口で手続きをしましょう。

JRの窓口で手続きすればいいんだね~

どこの駅の窓口で手続きできるかは、あらかじめ確認しておこうね
バス料金が割引に
電車がないエリアでは、バスを使う人も多いと思います。
バス会社によって条件は違いますが、一定の障害をお持ちの場合に、手続きをすることで、バス料金が50%割引きになる可能性があります。
割引きを受けるために、どのような条件があるのか、どのような手続きが必要なのかを、バス会社へ確認して、しっかり割引を受けましょう。

電車が少ない地域だと、バス料金の半額はうれしいね~

バス会社によって、手続き方法が違うから、手続き方法を事前に問い合わせておこう
タクシー代も安くなる⁉
自治体によって若干違いがありますが、タクシー利用時に障害者手帳などを提示することで、タクシー代が1割程度割引になります。
障害をお持ちのご本人だけではなく、同乗者の方も割引きを受けることができるので、うまく活用していきましょう。

タクシー代は1割引きなんだね~

自治体独自で、タクシー券を助成しているところがあるから、うまく使い分けてタクシー代を減らすといいね
航空運賃も割引される
JALやANAなどを利用する場合に、搭乗券購入時と搭乗時の2回、障害者手帳などを提示することで、割引運賃で航空機が利用できます。
割引き額については、航空会社や区間によっても違うので、事前に航空会社に確認しておくといいでしょう。
こちらも、ご本人だけではなく、介護者の方も割引の対象になるので、一緒に旅行をするときなどに、有効利用してみてくださいね。

航空機の料金も、割引きされるんだね~

事前登録は必要ないけど、空港で障害者手帳などが必要になるから、忘れないように気をつけてね
NHK受信料が割引きされる
交通機関の料金割引以外にも、NHKの受信料が割引きされます。
全額免除:手帳所持者がいる世帯で世帯全員が市町村民税非課税。
半額免除:世帯主が①視覚or聴覚障害者、②重度の身体・知的・精神障害者の場合(所得要件なし)。
NHK受信料は、意外と小さな支出ではありません。
毎月かかるNHK受信料が安くなることで、固定費を抑えることができますね。

NHK受信料って、けっこう高いから助かるね~

減らせる固定費は、しっかり減らしていこう
自治体独自の支援を確認しよう
自動車税や交通料金の割引きなどのほか、自治体独自に支援制度を設けている場合があります。
お住まいの自治体のホームページや福祉関連の窓口で、独自の支援制度を確認してみましょう。
タクシー利用助成
自治体独自で、タクシー利用助成制度を設けているところがあります。
一般的には、一定金額のタクシーの回数券が配布され、指定のタクシー会社で利用ができます。
タクシー代が、完全に無料になるわけではありませんが、公共交通機関を使いにくい人にとっては、タクシー代の支出が減ってうれしいですね。

タクシー代の割引とは別に、タクシーの回数券を配布してくれる制度があるんだね~

回数券助成は、それほど多くないから、タクシー代の割引きもうまく使っていこう
自動車燃料費助成
障害者の人が所有・運転する自動車の燃料費の一部を、自治体が助成してくれる制度です。
自治体によって、条件や助成額が違うので、よく確認してみましょう。
ただし、タクシー利用助成と自動車燃料費助成は、どちらかしか受けられないことが多いので、注意してくださいね。

車のガソリン代を助成してもらえるってことだよね~

タクシー利用助成とは併用できないから、自分がよく使うほうを選ぼう
まとめ
✅障害年金で生活するための収入の一部が給付される
✅障害者医療費助成で、医療費負担が減るので安心
✅自動車を持っている人は、自動車税や有料道路代が減額される
✅交通機関の割引きを受けて、通院や移動の負担を減らそう
✅お住まいの自治体独自のサービスを確認しよう

S先生ありがとう!
障害を抱えたときのお金の心配があったけど、だいぶ不安が減ったよ!
みんなにも教えてもらった制度を教えてくるね!
そうと決まれば「猪突猛進!」

障害を負うことに対して、お金の心配をしている人は多いでしょう
でも、障害年金や医療費助成などの公的な支援や、交通機関の支援など、お金の負担を減らしてくれる制度があります
不安を持ちすぎる前に、障害を負ったときに、どのような支援を受けられるのかをよく確認して、不安を減らして、必要な備えをしていきましょう
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