あなたも定期的に病院に通って、薬を処方してもらうことがあると思います。
病院から処方されたとおりに薬局で薬をもらっている場合や、薬をジェネリック医薬品に変えてもらっている場合など、いろいろなパターンがあるでしょう。
その中で、2024年の10月から、薬代に特別料金が上乗せされる人が出てきます。
薬代が高くなる可能性のある選定療養費について、どのような場合に対象となるのかを解説していきます。
✅2024年10月から薬代に特別料金が上乗せされる可能性がある
✅特別料金は先発医薬品と後発医薬品の差額の一部
✅子ども医療費助成を受けている人も注意が必要
✅選択肢を持てるように準備をしよう
この結論をもとに、解説していきますね
なんで薬代が高くなるの?
私たちが保険証を使って病院にかかるときなどの料金は、厚生労働大臣によって決められています。
この料金を診療報酬といい、2年に1度見直しが行われています。
この見直しを「診療報酬改定」といい、2024年に改定が行われました。
2024年の改定の中で、ジェネリック医薬品のような後発品がある先発医薬品が選定療養費の対象とされ、場合によって特別料金が上乗せされる場合が出てきました。
病院にかかる料金なんかは、2年に1度見直されてるんだね〜
でも、選定療養費ってなに?
聞きなれない言葉だと思うから、「選定療養費」について解説していくね
選定療養費ってなに?
「選定療養費」なんていわれても、なんのことかよくわからないと思います。
選定療養費は、公的保険に加入している患者が、追加費用を負担することで、保険適用外の治療を保険適用の治療とあわせて受けることができる医療サービスの一種のことです。
むずかしくて、よくわからないよ〜
追加の費用を支払うことで、健康保険で受けられる通常の治療などに加えて、プラスアルファの医療サービスを受けられるものなんだよ
選定療養費の対象になっているものは、次のようなものがあります。
No. | 選定療養の対象 | 選定療養の内容 |
---|---|---|
1 | 大病院の診療 | 病床が200床以上ある病院に紹介状なしの初診(緊急などの場合を除く) |
2 | 大病院の再診 | 病床が200床未満の病院等への紹介を受けたにもかかわらず、大病院で再診を受けるなど(緊急などの場合を除く) |
3 | 特別の療養環境(差額ベッドなど) | 患者の希望で、1〜4人部屋に入院する場合 |
4 | 前歯部の金合金等 | 前歯の歯科治療に、金やプラチナの合金などを使用する場合 |
5 | 金属床総義歯 | 総入れ歯の土台部分が、コバルトクロムやチタン合金などの金属製のものにする場合 |
6 | 予約診療 | 予約時間に一定時間以上の診療を受けられる特別診療枠の利用など |
7 | 時間外診療 | 患者の都合で、病院の診療時間外に診療を受ける場合 |
8 | 小児に対する虫歯治療後の継続管理 | 13歳未満の小児に対する虫歯再発を抑制するための継続的な管理指導 |
9 | 180日以上の入院 | 入院の必要性が低い患者の180日を超える入院 |
10 | 医薬品の治験にかかる診療 | 薬事法に基づく医薬品の治験にかかる診療を受ける場合 |
11 | 医療用具の治験にかかる診療 | 薬事法に基づく医療用具の治験にかかる診療を受ける場合 |
12 | 薬価基準収載前の承認医薬品 | 薬事法上の承認を受けた医薬品のうち、薬価基準に収載されていないものの投与(承認後90日以内のもの) |
13 | 薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用 | 薬価基準に収載されている医薬品の用法・用量などとは違う使い方をする場合 |
選定療養って、いろいろなものが対象なんだね
差額ベッド代なんかが、身近でわかりやすいかもしれないね
上乗せされる特別料金は差額の4分の1
上乗せされる特別料金は、先発医薬品とジェネリック医薬品などの後発医薬品の価格差の4分の1相当の金額です。
後発医薬品が複数ある場合は、価格が一番高い後発医薬品との価格差で計算します。
ジェネリック医薬品との差額の4分の1が、特別料金として上乗せされちゃうんだね〜
複数の薬が出されると1番高いもので計算されるから注意してね
たとえば、先発医薬品の価格が税込み200円、後発医薬品の価格が税込み100円なら、200円と100円の差額の100円の4分の1の金額、25円が特別料金として薬代に上乗せされます。
なお、この特別料金は消費税の課税対象となっているので、消費税10%相当の金額がかかっています。
医療上必要がある場合は上乗せはない
ジェネリック医薬品のある先発医薬品のすべてに、特別料金が上乗せになるのではないかと不安になっているかもしれません。
でも、医師や歯科医師が医療上必要があると認める場合には、特別料金を支払う必要がないことがあります。
どんなときでも特別料金が上乗せされるわけじゃないんだね
お医者さんが必要と認める場合は、上乗せされない可能性があるよ
特別料金が上乗せされないケースは、次のような場合です。
医療上の必要があると認められる場合
✅先発医薬品と後発医薬品に、効能や効果の違いがあり、患者の治療のために必要な場合
✅患者が後発医薬品を使用した際に、副作用があったり、先発医薬品と後発医薬品で治療効果に違いがあると判断される場合で、安全性の観点などから使用が必要な場合
✅学会が作成しているガイドラインで、先発医薬品を使用している患者について、後発医薬品を切り替えないことを推奨されている場合
✅後発医薬品の薬剤の形では飲みにくい、一包化できないと医師などが判断する場合
✅流通の問題などにより、医療機関や薬局に後発医薬品の在庫がない場合
特別料金が上乗せされないパターンって、いろいろあるんだね〜
薬を処方してもらうときに、お医者さんや薬剤師さんに確認してみるといいかもね
子ども医療費助成を受けている人は注意して
各自治体では、子どもに対する医療費助成をしています。
何歳まで対象となるのか、保険診療の全部なのか一部なのか、所得制限はあるのかなど、条件や助成内容は自治体によって違います。
子ども医療費制度によって、子どもの通院や薬代がかかっていないというご家庭も多いと思います。
しかし、選定療養費の特別料金の上乗せに関しては、子ども医療費助成を受けているご家庭も無関係ではありません。
子どもの医療費って、無料になるんじゃないの?
子ども医療費助成を受けていても特別料金は対象外
子ども医療費助成があるから、薬代に特別料金が上乗せされても関係ないと思っているのではないでしょうか。
でも、この特別料金は、子ども医療費助成の対象外となっている可能性が極めて高いです。
え?
なんで特別料金分は、子ども医療費助成の対象じゃないの?
自治体によっては、特別料金部分まで助成するところがあるかもしれませんが、この特別料金は保険適用外のため、基本的には自己負担となります。
今後は、家計の状況によっては、先発医薬品を使うか、ジェネリック医薬品などに変えるかの判断が必要となるかもしれませんね。
そもそも選定療養費は保険対象外
なぜ、薬代に上乗せされる特別料金が、子ども医療費助成の対象にならないのか疑問に思うかもしれません。
ですが、子ども医療費助成制度自体は、基本的には健康保険が適用される診療などが対象となるものです。
自治体によっては、助成できるようにしているところがあるかもしれませんが、健康保険の対象となっていない部分まで助成することは、自治体の厳しい財政状況では難しいでしょう。
健康保険の対象になる部分が、子ども医療費助成の対象だったのか〜
自治体によるけど、多くの自治体が健康保険対象部分だけを助成していると思うよ
そして、選定療養費は、患者自身が追加費用を支払って、保険診療以上の特別な医療サービスを受けられるようにできる制度です。
入院時の差額ベッド代や紹介状なしで大病院を受診するのと同様に、先発医薬品を選択することは、通常必要な保険診療以上のサービスを選択するということになります。
今回、先発医薬品を選定療養費の対象と位置づける際にも、医師が先発医薬品を指定する理由として、「患者希望が多い」との調査結果をもとにしているようです。
健康保険の対象になる以上を求めると、追加料金は必要になっちゃうんだね
各自治体も財政状況は厳しいから、仕方ないかもしれないね
安易にジェネリック医薬品を選ばず家計の見直しで費用を捻出しよう
ここまで特別料金の上乗せについてお伝えしてきましたが、今後どのような対応を取ればいいのでしょうか。
著者は医療従事者ではないので、ジェネリック医薬品の使用に関する見解は避けたいと思いますが、選択肢をいくつかお伝えします。
家計を見直して先発医薬品を選択できる資金を確保する
いくら安くてもジェネリック医薬品を使いたくないという人は、それなりにいるのではないでしょうか。
どうしてもジェネリック医薬品に抵抗があるのであれば、先発医薬品を使えるだけの資金を確保する必要があります。
その方法として有効なのは、固定費の見直しです。
保険や通信費、家賃などの見直しをして、どうしても生活をする上で必要な薬代を捻出できるようにしましょう。
この機会に不要な支出を見直して、本当に必要な支出にお金を使えるようにしたいですね。
せっかくだから、固定費の見直しをしてみようかな
先発医薬品と後発医薬品のどちらも選択できる環境を作れるように、家計に余裕を作ることが大事だよ
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オーソライズド・ジェネリック(AG)を利用する
AGは、新薬メーカーから許諾を得て製造した「添加物および製法等が先発医薬品と同一のジェネリック医薬品」のことです。
扱いとしてはジェネリック医薬品ですが、先発医薬品と同等のもので、価格が抑えられます。
なんか、ジェネリック医薬品より安心して使えそうな気がするね
AGがある医薬品は一部のものだけみたいだから、薬剤師によく確認してみてね
ただし、すべての先発医薬品にAGがあるわけではないので、薬局などでAGがある薬なのかを確認する必要があります。
もしAGがあるのであれば、安心して価格の低い薬を使いやすくなるので、一度確認してみてもいいでしょう。
ジェネリック医薬品を使うようにする
ジェネリック医薬品に抵抗がない人や、どうしても費用が捻出できない人は、ジェネリック医薬品を使うことになるでしょう。
ただ、ジェネリック医薬品しか使えないという状況をできるだけ回避して、先発医薬品とジェネリック医薬品のどちらも選択できる中で、ご自身にとって有益な選択肢を選べるようにしたいですね。
ジェネリック医薬品は安いから、いっそのことジェネリック医薬品にしちゃおうかな
先発医薬品と後発医薬品のどちらも選べる状態で、よく調べたうえで後発医薬品を選ぶようにしたいね
まとめ
✅ジェネリック医薬品がある先発医薬品に、特別料金が上乗せされる可能性あり
✅子ども医療費助成を受けている場合も特別料金が自己負担になるので注意しよう
✅家計の見直しをして、特別料金分の資金を捻出しよう
✅よく調べたうえで、後発医薬品を選ぶのはあり
2024年の10月から、ジェネリック医薬品があるのに先発医薬品を希望する場合には、特別料金の上乗せされてしまう可能性があります。
ジェネリック医薬品に抵抗がない人や、もともとジェネリック医薬品を使っていた人は、後発医薬品をしていくという選択をする人もいるでしょう。
しかし、ジェネリック医薬品に抵抗がある人は、特別料金の分だけ薬代が高くなってしまいます。
家計の見直しなどで資金を捻出したり、代替できる方法がないかをよく調べて、今後の薬代の支払いに備えていきましょう。
S先生ありがとう!
特別料金が上乗せされても支払いできるように、支出の見直しを頑張るよ
そうと決まれば「猪突猛進!」
2024年10月から、先発医薬品に特別料金が上乗せされる可能性があるから、いろいろな選択肢を持てるように準備していこうね
ジェネリック医薬品ってどうなんだろうと思ったら読んでみよう⬇️
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