ふるさと納税をしてみたけど、税金がちゃんと控除されているかわからないという人は多いと思います。
この記事を読んでいるあなたもそのひとりではないでしょうか。
そんなあなたのために、自治体税務担当を長年経験してきたファイナンシャルプランナーのSが、住民税通知書の見方と、ふるさと納税の控除が適用されていない場合の対応方法を解説していきます。
結論
✅住民税額特別徴収決定通知書は、まずは適用欄を見てみよう
✅適用欄に何も書かれていない場合は、税額控除欄をチェック
✅住民税納税通知書は寄附金控除欄をチェック
✅寄付金額より控除額が少ない場合は、確定申告書も確認しよう
✅ふるさと納税の控除を受けていない場合は確定申告をしよう
この結論をもとに順番に解説していきますね。
住民税額特別徴収決定通知書はここを見よう
あなたが会社員・公務員などの仕事をしていて、住民税が給与から引かれているなら、毎年6月頃に住民税特別徴収税額決定通知書を渡されていると思います。
まずは、決定通知書を開いて、適用欄を確認しましょう。
この部分を見て、何を確認すればいいんだろ〜?
住民税納税通知書はここを見よう
個人事業主の人や副業などを普通徴収にしている人は、住民税納税通知書が自治体から郵送されていると思います。
住民税特別徴収税額決定通知書とレイアウトが違います。
課税明細書に寄附金控除が記載されているかを確認してみましょう。
納税通知書は寄附金控除が載っているんだね〜
自治体によってレイアウトが違うけど、寄附金控除の欄を確認しましょう。
ふるさと納税額と控除額に差額がないかチェックしよう
自治体によっては、上の写真のように適用欄に市町村民税と都道府県民税それぞれのふるさと納税の控除額が記載されているところがあります。
記載がある場合は、実際にふるさと納税をした金額と適用欄に記載されている金額を比べてみましょう。
寄附金額から2千円を引いた金額と控除額の合計が同じなら、あなたは限度額内でふるさと納税をして、ちゃんと控除を受けることができています。
通知書の見方ってけっこう簡単なんだね〜!
これだけで確認できるときは簡単でいいんだけどね…。
適用欄に記載がない場合は、税額控除欄をチェックしよう
適用欄にふるさと納税の控除額を記載してくれている自治体は少しずつ増えていますが、記載がない場合はどこを見ればいいのでしょうか。
その場合に確認する場所は税額控除欄です。
税額控除欄を確認すると金額が記載されていると思います。
なんだ!
適用欄に書いてなくても確認できるんだ〜!
じゃあ、実際に確認してみようか。
それでは、ふるさと納税額と控除額の合計を比較してみましょう。
比較してみると、寄附金額から2千円を引いた金額にはならないのではないでしょうか。
むしろ、寄附金額より多くなる場合もあると思います。
S先生、金額が合わないよ!
なんで〜?
それはね、税額控除欄には、寄附金控除額以外の金額が含まれているからなんだよ。
住民税調整控除を知ろう
その原因は、税額控除額には、調整控除や住宅ローン控除などの金額が含まれているからです。
住宅ローン控除の計算は複雑なので、今回はほとんどの人に関係する調整控除について簡単に解説します。
この項目に興味のない方は飛ばし読みしてください笑
えっ⁉️
読み飛ばしていいの⁉️
ちょっと難しい話しになるから、興味がなければ説明のあとのアンダーラインを引いているところを読むだけでも十分かも…。
調整控除は、昔に住民税と所得税の税率が変更された際に、税率変更前と変更後で税負担が変わらないようにするために設けられた制度です。
次の算出方法をもとに住民税額から一定の金額が差し引かれます。
1. 所得税と住民税の人的控除額の差の合計額
2.住民税の課税所得金額
1と2のいずれか小さい金額×5%(市町村民税3%、都道府県民税2%)
※人的控除の差とは、所得税と住民税で扶養控除や障害者控除などの差のことを言います。
{人的控除の差の合計額ー(住民税の課税所得金額ー200万円)}×5%(市町村民税3%、都道府県民税2%)
この算出方法で計算された金額が、2,500円未満になる場合は,2,500円(市町村民税1,500円、都道府県民税1,000円)となります。
この金額が、2,500円になっている人が多いかもしれませんね。
※令和3年度以降は、課税所得が2,500万円を超える場合は、調整控除の対象にはなりません。
ほとんどの人は、税額控除欄の金額の合計額から、2,500円を引いた金額がふるさと納税の寄附金控除額と思って良いと思います。
ただ、正確なふるさと納税控除額を知りたい場合は、1月1日現在でお住まいだった自治体に確認すると確実ですね。
寄附金控除が少ない場合は何が原因?
ふるさと納税の寄附金控除額を確認して、少し金額が少ない場合があるかもしれません。
いったい何が原因なのでしょうか?
考えられる原因のひとつは、
✅確定申告をして、所得税でも寄附金控除を受けている
ことです。
えっ?
確定申告が何か関係あるの?
所得税で寄附金控除を受けている場合は、住民税側では所得税の減額分を差引いて減額になります。
確定申告書の寄附金控除額に所得税・復興所得税率をかけた金額と、住民税のふるさと納税寄附金控除額を足して、ふるさと納税額とほぼ同じ金額になれば、損することなく寄附金控除を受けることができていますよ。
そっか!
確定申告すると、所得税も減額されるんだったね〜!
所得税が減額になっているのは、見落としやすいから気をつけたいね。
次の原因としては、
✅確定申告の際に入力を忘れている寄附金がある
ことです。
寄附金控除を一つ一つ自分で入力して確定申告をした人は、入力漏れがないかを確定申告書の第二表を見て再度確認しましょう。
確定申告なんて、あまり慣れてないから、入れ忘れてることがあるかも。
もし、入力漏れがある場合は、手続きが必要になります。
必要な手続きは、記事のうしろのほうで説明しますね。
ふるさと納税納税寄附金控除額が記載されていない場合は?
寄附金控除額が記載されていない場合の原因としては、次のことが考えられます。
✅ワンストップ特例を申請したが、6自治体以上に寄附をした
✅ワンストップ特例を申請したが、確定申告をした
✅確定申告書に寄附金控除を入れ忘れた
ワンストップ特例を申請しててもダメなの?
ワンストップ特例を申請していても、特例が無効になることがあるから注意が必要なんだよ。
ワンストップ特例は、6自治体以上に寄附または確定申告をすると無効になってしまいます。
ワンストップ特定が無効になった場合や確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄附金控除を入力しないと寄附金控除を受けられないので、寄附金控除を受けるためには、あらためて手続きが必要です。
まれに、自治体のミスで控除を受けられていないことがあるので、上のケースに当てはまらない場合は、自治体へ問い合わせするようにしましょう。
寄附金控除が適用されていない場合は申告をしよう
寄附金控除が適用されていないことが分かったとしても、どのように対応すればいいのでしょうか。
状況によって対応方法が変わるので、順番に解説していきます。
ワンストップ特例無効+確定申告していない
ワンストップ特例が無効になってしまい、かつ確定申告をまだしていない場合は、確定申告で手続きをすることになります。
税務署へ直接行って申告したり、国税庁確定申告書作成コーナーなどで確定申告書を作成して税務署へ提出するなどの方法により確定申告をします。
確定申告の期間を過ぎてるけど、今から確定申告しても大丈夫なの?
確定申告できる期間は、約5年間あるから、3月15日を過ぎても確定申告しても大丈夫だよ。
ただ、確定申告で所得税が増える場合や何年も経過してしまっている分の申告は、一度税務署へ確認しておくといいかもね。
確定申告書を作成する場合は、寄附金控除部分だけではなく、収入・所得、控除など該当する内容を全て記載する必要があるので注意しましょう。
該当する項目を全部入れないといけないんだね〜⁉️
忘れちゃいそう…
入れ忘れがあると、所得税や住民税が多くかかったり、再度申告が必要になるかもしれないから注意したいね。
ワンストップ特例無効+確定申告済み
次は確定申告をしたためにワンストップ特例が無効になってしまった場合です。
この場合は、すでに確定申告した内容から所得税を減額する手続きになるので、更正の請求を税務署へ提出することになります。
税務署へ行って手続きする場合は、あらかじめ税務署へ連絡して、必要な書類を全て持参した上で手続きをするようにしましょう。
更正の請求なんて初めて聞いたよ〜
これはネット上で手続きできないの?
国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから手続きできるよ。
ただスマホでは手続きできないみたいだから、PCを持っていない場合は、税務署へ行って手続きする必要があるね。
確定申告の際に寄附金控除を入れ忘れた
確定申告をした時に寄附金控除を入れ忘れてしまっていた場合は、こちらも更正の請求を税務署へ提出することになります。
確定申告書等作成コーナーで作成するか、税務署へ行って手続きするようにしましょう。
この場合も更正の請求になるんだね〜
自治体の処理に誤りがあった
確定申告書を確認しても、ちゃんと申告されている場合は、自治体側の処理誤りの可能性があります。
まずは自治体へ問い合わせをして、原因を確認してもらいましょう。
もし、自治体側の誤りであれば、自治体へ住民税の更正をお願いします。
住民税の修正には数週間かかる場合があるので、誤りかもしれないと思ったら、早めに自治体へ連絡したいですね。
自治体の人もミスをすることがあるんだね〜
システム化や電子データのやりとりなどで、処理が自動化されてきているけど、人の手で処理している部分はまだあるからね。
間違いかもと思ったら、早めに自治体へ問い合わせすることが大切だよ。
最後に
S先生ありがとう!
ぼくのところにも住民税の通知書が届いたら、ちゃんとふるさと納税が適用されているか確認してみるよ!
そうと決まれば、「猪突猛進!」
ちゃんとふるさと納税の控除が適用されているといいね。
いかがだったでしょうか。
ふるさと納税がちゃんと適用されているのか、適用されている金額が正しいのかというところは、住民税通知書を見てもなかなかわかりづらいですよね。
住民税通知書の見方や、ちゃんと適用されていない場合の対応について、参考になったら嬉しいです。
この記事が、あなたのお役に立ちますように!
それではまた。
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