住宅を購入したあとに、どうしてもかかってしまう税金が固定資産税です。
不動産を持っている限り毎年支払いが必要な固定資産税ですが、あなたは住宅の固定資産税が大幅に上がってしまうタイミングがあるのを知っていますか?
このタイミングを知らないと、家計の資金繰りが大変になってしまいます。
住宅を建てた、または住宅を建てようと思っているあなたに知ってほしい、住宅の固定資産税が大幅に上がるタイミングを自治体で固定資産税の課税を担当した経験のあるファイナンシャルプランナーのSが解説していきます。
結論
✅新築住宅の固定資産税は、3年間または5年間減額される
✅一般的な住宅なら住宅を新築してから4年後、長期優良住宅なら6年後は税額上昇に注意
✅減額の適用が終わると、人によっては住宅の固定資産税が2倍近くに上がる
✅減額最終年の翌年からの資金繰りに注意
✅減額が終わっても、住宅の固定資産税は3年に一度少しずつ下がっていく
この結論をもとに順番に解説していきますね。
一般的な住宅の固定資産税減額は3年
固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産等の所有者にかかります。
そのため、住宅の固定資産税は基本的に、住宅を建築・購入した年の翌年からかかることになります。
そして、一般的な新築の住宅は、その住宅を建築した翌年から3年間の固定資産税が減額されます。
3年間は、固定資産税が安くなるんだね!
3年間安くなるということは、4年目からは…
逆を言えば4年目には減額がなくなって、固定資産税が高くなってしまうということです。
それでは、いったいどのくらい固定資産税が上がってしまうのでしょうか。
一般的な新築の固定資産税は、住宅面積の120平方メートルまでの部分が2分の1に減額されます。
次の例を参考にどれくらい固定資産税が変わるのか見ていきましょう。
事例)令和元年に新築した住宅の場合
✅令和1年5月新築の一般住宅
✅木造 2階建
✅延べ床面積:120平方メートル
✅令和4年度固定資産評価額:1,200万円
評価額は変わらないのに、令和4年度と令和5 年度で固定資産税相当額が倍になっちゃったよ⁉︎
この例では、住宅の延べ床面積が120平方メートルだから、減額がなくなると単純に倍になってしまうね。
この減額の制度は、どんな住宅でも同じに減額されるのかな?
長期優良住宅の固定資産税の減額期間は5年間
一般的な住宅の固定資産税の減額は3年間ですが、長期優良住宅に認定された住宅の場合は、固定資産税の減額期間が5年間です。
長期優良住宅の場合は、6年目に固定資産税が大きく上昇するので注意が必要です。
6年後に固定資産税が上がることなんて絶対忘れてるよ!
そうだね。
自治体の担当者さんが、新築住宅の家屋調査をする際に伝えてくれるはずなんだけど、何年も経つと忘れてしまいそうだね。
長期優良住宅は、一般的な住宅と比べて固定資産税の面で見れば有利になりますが、次のようなデメリットもあります。
✅長期優良住宅の認定を事前に受けなければいけない
✅認定を受けるために時間や手数料がかかる
✅一般的な住宅と比べて建築費が高くなる可能性がある
✅入居後も定期的な点検やメンテナンスが必要になる
このようなデメリットと比較して、長期優良住宅にするか決めたいね。
S先生!
長期優良住宅の減額期間が5年になるのはわかったけど、減額される面積や割合は変わらないの?
残念だけど固定資産税としては、減額の期間が長くなるだけで減額対象面積や減額割合は変わらないんだ。
でも、長期優良住宅は一般住宅と比べて、住宅ローン控除などでも優遇されているから、それらも総合して検討したいね。
中古住宅でも減額期間内なら減額を受けられる
建築して1年や2年が経った住宅を購入した場合、新築住宅の減額は受けられないのでしょうか?
この場合でも、固定資産税の減額を受けることができます。
ただし、新築住宅の減額を受けられる期間は3年または5年なので、あなたが今年の4月に1年前に建築された一般住宅を買った場合、来年度から住宅の固定資産税がかかり、あなたは来年度と再来年度の2年間だけ新築住宅の減額を受けることができます。
つまり、新築住宅の減額の期間の残期間分について、あなたが固定資産税の減額を受けることができるということです。
中古住宅の場合は、減額を受けられるとしても購入してから3年間や5年間の減額を受けられるわけじゃないんだね〜!
そうだね。
あくまで新築で固定資産税かかってから3年間や5年間減額されるから、途中で購入した人は残期間分だけしか減額を受けられないんだよ。
たとえば新築して3年経った一般住宅を買ったら、固定資産税の減額はないってこと?
そうだね。
一般住宅なら減額期間が終わってしまうから、ちょうど減額がないタイミングから支払いが始まるね。
住宅の固定資産税は3年に一度見直しされる
ここまでで住宅の固定資産税の減額期間が終わると、固定資産税が大きく上昇してしまうことがわかりました。
では、減額期間が終わったら住宅の固定資産税はいつまでも変わらないのでしょうか?
実はそんなことはありません。
住宅の固定資産税は、3年に一度見直しが行われ、減価償却されて評価されます。
住宅を建ててからきっかり3年ごとに評価が見直されるの?
固定資産税の見直し時期は決まっていて、前回は令和3年度で次回は令和6年度だよ。
じゃあ、令和5年度から新築住宅の固定資産税がかかった人は、令和8年度に評価が見直されるんじゃなくて令和6年度に見直されるってこと?
そうだよ。令和6年度に見直されて、そこからは3年ごとに見直しがされるね。
住宅の固定資産税の減価しきるまでの年数や減価の早さは、おおまかに建物の造りによって変わります。
例えば、木造住宅であればおおむね20〜25年、積水ハウスやセキスイハイムなどのような軽量鉄骨造の住宅であれば、おおむね30年程度で減価します。
S先生!
住宅を建てて30年経ったら固定資産税が0になるの?
残念だけど減価償却しても建物の固定資産税は0にはならないんだ。
建物の評価は20%まで減価されたら基本的にはそれ以上下がらないんだよ。
えっ⁉︎
20%までしか下がらないんだ⁉︎
建物の固定資産税評価額は、20%までしか減価されません。
建物の評価額が0になるのは、基本的には建物を解体して、建物自体がなくなる場合などになります。
住宅を持っている間は、ずっと固定資産税がかかっていくことは押さえておきたいですね。
最後に
S先生ありがとう!
新築の住宅は、買ってから何年後かに固定資産税がいっぱいかかることがわかったよ!
住宅を新築した人や今から建てようとしている人に教えてくるよ!
そうと決まれば、「猪突猛進❗️」
うりちゃん、いろんな人に教えてあげてね。
建物は年数が経てば減価していくので、固定資産税は下がる一方だと思いがちですが、減額期間が終わると一気に高くなってしまいます。
新築から数年は、本来よりも低い金額の固定資産税しかかかっていないことを頭の片隅に置いて、突然税金が高くなっても困らないように準備をしていきたいですね。
コメント