あなたは、会社を退職したあとに入る健康保険をなんとなく選ぼうとしていませんか?
自己都合で会社を辞める場合、会社の都合で退職することになった場合のどちらも、退職後に入る健康保険を考える必要があります。
選ぶ健康保険を間違えてしまうと、保険料を余計に払うことになったり、医療費を多く払わないといけなくなったりと損をしてしまうかもしれませんよ!
あなたが健康保険選びで損をしないように、ファイナンシャルプランナーのSが、退職後の健康保険選びの大切なポイントを紹介していきます。
この記事は、退職の翌日から別の会社へ転職して、社会保険に入る方には影響のない記事となっています
✅扶養に入れる場合は、家族の社会保険の扶養がおすすめ!
✅何度も高額療養費を使っているなら任意継続で!
✅その他の人は任意継続と国保を比較して決めよう!
✅特定の業種で事業を始めるなら国民健康保険組合も検討
この結論をもとに、次からポイントごとに解説していきますね
1番おすすめ!家族の社会保険の扶養
家族の扶養に入るためにはいくつかの条件があり、家族が加入している健康保険組合によって加入条件が若干変わることがあります。
一般的な扶養の条件については、下のリンクから けんぽ協会のページを確認してみてください。
扶養に入るにも条件があるんだね〜
条件は厳しいけど、条件がそろっているなら家族の扶養になるのがおすすめだよ
家族の扶養に入るメリットは?
家族の社会保険の扶養に入ることができれば、次のようなメリットがあります。
扶養に入った人には保険料がかからない
扶養に入った際に、あなたがどのくらい保険料を払うことになるかが気になると思いますが、扶養にはいる場合には、あなたに保険料の支払いは発生しません。
扶養に入れた家族の保険料が変わらない
あなたに保険料がかからなくても、扶養に入れてくれた家族の保険料が上がるのではないか?と思うかもしれません。
でも、あなたを扶養に入れたとしても、基本的に保険料は変わりません。
ただし、健康保険組合によっては、条件しだいで保険料が上がる可能性があるので注意が必要です。
配偶者の扶養になっている間は、国民年金保険料がかからない
任意継続や国民健康保険に入る場合、配偶者以外の扶養に入る場合には、国民年金に加入して年金保険料を払うことになります。
配偶者の扶養になる場合には、第3号被保険者となり扶養に入っている間は年金保険料がかかりません。
家族の扶養に入れたらメリットが多いね〜
家族の扶養に入るにはハードルがある
家族の扶養に入れるのが望ましいですが、そのためには超えるべきハードルがあります。
また、健康保険組合によって若干条件が違う場合があることにも注意が必要です。
扶養に入るために超えるべきハードル |
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✅家族に社会保険加入者がいないと入れない |
✅月108,333円以上の収入があると入れない(雇用保険の失業給付等を含む) |
✅年130万円以上の収入が見込まれる場合は入れない |
✅個人事業主となる方は、健康保険組合によっては入れない場合がある |
✅家族との関係しだいでは扶養に入れてもらえないことも |
けっこうハードルが高そう⁉︎
退職する人の多くは扶養に入るハードルは高いかもしれないね
でも扶養に入る条件を満たしているのであれば、余計な保険料は払わないようにしたいね
この選択肢が一般的!社会保険の任意継続
次に、家族の社会保険の扶養に入れなかった場合の選択肢について紹介していきます。
2か月以上社会保険に加入していると、退職後に現在加入している社会保険を任意継続することができます。
一般的に、退職者の人は任意継続を選択することが多いですが、ちゃんと国民健康保険と比較をしないと損をしてしまう可能性があります!
任意継続のメリットは?
まずは、任意継続のメリットと注意点を見ていきましょう。
任意継続のメリット |
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✅最大2年間加入でき、基本的には2年間保険料が変わらない |
✅保険料算定に上限があるので、標準報酬が高いなら有利 |
✅副業などの収入は保険料の算定に含まれないので、複数の収入源がある人には有利 |
✅申し出により任意脱退が可能 |
✅保険料は月払い、健康保険組合によっては、一括納付による割引がある |
けっこうメリットがあるんだね〜
令和4年の1月からは、手続きすれば任意継続を脱退できるようになったから、使いやすくなったね
任意継続はここに注意
良さそうな内容に見える任意継続ですが、良いところだけではありません。
任意継続に加入する場合には、次のような注意点があります。
任意継続の注意点 |
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✅保険証の発行に1〜2週間程度かかる |
✅加入手続きを離職後20日以内に行わなければいけない |
✅保険料は在職時の約2倍になる(上限あり) |
✅在職時と比較すると受けられない保険給付がある |
✅保険料の納付が遅れると、強制的に保険資格を喪失する |
✅退職後に一度ほかの保険に入ってしまうと、任意継続へは切り替えられない |
✅会社都合退職の場合や住んでいる市町村によっては、国民健康保険よりも保険料が高い場合がある |
✅国民年金への加入手続きが別途必要となる(状況によっては免除可) |
意外と注意点があるんだね〜
手続きが20日以内なのと、一度国保などに入ってしまうと任意継続に戻れないのは注意したいね
月の医療費が年に4回以上限度額に達していると、4回目の月から多数該当となり、医療費の自己負担限度額が下がるので、退職の年に入院や手術が多いのであれば任意継続を選択しましょう!
ほかの健康保険に移ってしまうと、限度額に達した回数がリセットされるので注意が必要です!
違う保険に入ってしまうと、限度額に達した回数がリセットされるんだね⁉︎
どのくらい医療費負担が違うものなの?
一般的な標準報酬の人で、4回目からは限度額が月44,400円
リセットされてしまうと、月80,100円+αになってしまうんだよ
優先順位は最下位?任意継続より有利なケースも
基本的に、ほかのどの健康保険にも入ることができなかった場合に選択肢となる国民健康保険です。
でも、あなたの置かれている状況しだいでは、任意継続よりも有利になる場合があります。
それでは、国民健康保険のメリットと注意点を見ていきましょう。
国民健康保険のメリットは?
国民健康保険のメリット |
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✅住んでいる場所しだいで任意継続よりも安い場合がある |
✅会社都合退職の場合、一定の要件を満たせば最大2年間保険料が減額される |
✅退職後2年度目は保険料が変わるので、状況しだいで2年度目から乗り換えもアリ |
✅前年の所得と加入者数によって保険料の減額を受けられる場合がある |
✅保険証は即日発行される |
会社都合の場合、保険料はどのくらい減額されるの?
会社都合退職の場合は給与所得が7割少ないものとして計算されるんだよ
仮に300万円の給与所得があったら90万円の給与所得とみなして計算されるんだ
国民健康保険のここに注意
国民健康保険には、社会保険にはない注意点があります。
社会保険と考えてしまうと、思わぬ落とし穴があるかもしれません。
国民健康保険の注意点 |
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✅前年の所得を基に計算されるので、退職直後の保険料は高い傾向にある |
✅市町村によって保険料に差がある |
✅市町村によって納付回数に差がある |
✅扶養の概念がないため、加入人数が多くなると基本的には保険料が増える |
✅再就職して社会保険へ変わった場合に、自治体窓口で国民健康保険脱退の手続きが必要 |
国民健康保険料って市町村によって違うんだね⁉︎
保険料率や納付回数なども市町村によって違うんだよ
ただ、いずれ同じ都道府県内なら同じ取扱いになっていくんじゃないかな
国民健康保険料は、市町村によって保険料率や支払い回数などが違います。
また、自治体独自の給付をもうけている場合があります。
加入前に自治体へ保険の内容を問い合わせておきたいですね。
国民健康保険の話を詳しく聞きたいときは、どこに聞いたらいいの?
国民健康保険の話なら、住んでいる自治体の窓口で保険料の仮計算や保険の内容の説明を受けることができるよ
あらかじめ説明を聞いて、ほかの選択肢と比較しておきたいね
健康保険の手続きをしないと後から遡って支払いが必要!?
中には病院に行く予定がないからと、健康保険加入の手続きをしない人もいるかもしれません。
そんな時、いざ保険証が必要になった場合はどうなるのでしょうか?
✅退職日の翌日に遡って国民健康保険に加入することになる
✅原則、退職日の翌日分からの保険料の納付が必要となる
✅納付回数が少なくなる
✅加入手続きが年度末近くの場合や、年度をまたぐ場合は一括納付となる
保険料が発生するのって、保険証をもらったときからじゃないんだ⁉︎
国民健康保険料の金額は安くないから、一括で、しかもさかのぼってかかると大変だよね
早いうちなら選択肢も多いから、後回しにせず早めに手続きをしたいね
任意継続と国民健康保険の比較ポイントはここ!
任意継続と国民健康保険のメリットと注意点を見てきたところで、じゃあ何を基準に選べばいいの?と思った人が多いはずです。
そこで、比較のポイントを絞ってお伝えします!
比較のポイント |
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✅年に何度も入院や手術などで限度額を何度も超えている→任意継続を選択 |
✅会社都合で退職→国民健康保険が有利 |
✅保険料が安い→ほとんど金額が変わらないなら任意継続 大きく違うなら保険料の安い保険を選択 |
✅再就職後の手続きを楽にしたい→任意継続が有利 |
こういう感じで健康保険を選べばいいんだね
あくまで簡易的な判断ポイントだから、健康保険を選ぶ際の参考にする程度の感じだよ
できるだけ健康保険組合や市町村に確認をしてから、健康保険を選ぶようにしてほしいね
個人事業主になる場合には国民健康保険組合も確認しよう
ここまで紹介してきた公的保険のほかにも、特定の業種の方が加入できる健康保険があります。
それが、国民健康保険組合です。
国民健康保険という名前は付いていますが、自治体の国民健康保険とは別物の健康保険です。
国民健康保険組合は、所得に影響されないような保険料の算定方法となっていることが多く、個人事業主・フリーランスとなる方にとっては、任意継続や自治体の国民健康保険よりも条件がいい場合があります。
あなたが携わろうとしている業種の国民健康保険組合があるかは、ネットで「○○県 ○○(業種) 国民健康保険組合」などと検索するか、下記のサイトからある程度確認することができます。
(一社)全協ホームページ (kokuhokyo.or.jp)
国民健康保険組合のメリットは?
国民健康保険組合の保険料は、組合ごとに算定方法が異なります。
ですが多くの場合、1人あたり定額の料金体系となっているか、所得に対する料率が低くなっています。
そのため、自治体の国民健康保険と比べて、所得が増えることによる影響は少なくなります。
所得に影響されない保険料率の設定になっているところが多いんだね!
事業を伸ばしていきたい人にとっては嬉しい制度だね
国民健康保険組合の注意点
国民健康保険組合には、いくつか注意点があります。
注意点をしっかり押さえて、他の健康保険と比較していきましょう。
都道府県ごとに組織されている国民健康保険組合が違う
国民健康保険組合は、47都道府県ですべて同じではありません。
東京都にあって宮城県にない職種の組合、京都府にあって東京都にない職種の組合など、都道府県によって違いがあります。
どこの都道府県にも同じ国民健康保険組合があるわけじゃないのか~
引っ越しで住まいや事業所の所在が別の都道府県になる場合は注意だね
扶養の制度がない
国民健康保険組合には扶養がなく、家族も一緒に国民健康保険組合に入ろうとする場合には、その家族も被保険者となります。
被保険者が増えることで、保険料が増えることになります。
保険料が増える場合に、ほかの健康保険よりも保険料が上がってしまわないかを確認するようにしましょう。
国民健康保険組合には扶養がないんだ⁉
家族が多いと保険料が高くなってしまうかもしれないね
国民健康保険組合を脱退しても任意継続制度はない
社会保険の場合であれば、一定の条件を満たしてから退職すれば任意継続を選択できますが、国民健康保険組合には任意継続制度はありません。
国民健康保険組合を脱退すると、ほかの健康保険制度に加入することになります。
手術や入院などにより、医療費の自己負担限度額に複数回到達している人は注意が必要です。
直近12か月で3回以上自己負担限度額に達した場合、4回目から自己負担限度額が下がる多数該当の対象となります。
健康保険が変わる場合、この判定回数がリセットされ、医療費の自己負担額に影響が出る可能性があります。
病気がちの年は気をつけないといけないな~
多数該当からはずれると自己負担限度額が上がるから要注意だね
まとめ
基本的には、①家族の社会保険の扶養、②社会保険の任意継続、③国民健康保険の優先順位となります。
ただし、家族の扶養に入れない場合、国民健康保険料が任意継続保険料より安い場合など、あなたの置かれている状況によって優先順位は変わる可能性があります。
また、退職後に個人事業主・フリーランスとして活動する場合には、職種によっては国民健康保険組合が選択肢に入るかもしれません。
いずれにしても、健康保険の中身をよく確認して、しっかりと比較検討することが大切です。
会社を退職するときには、健康保険の選択がつきものです。
それぞれの健康保険のメリットデメリットなどを確認して、あなたにとって損をしないより良い選択をしていきましょう!
S先生ありがとう!
さっそく退職後にどの健康保険に入ればいいか比較してみるね!
そうと決まれば「猪突猛進!」
より良い選択ができるように、いろいろ比較してみてね
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