固定資産税は、間違いの多い税金だといわれています。
あなたの固定資産税に間違いがあれば、自治体へ相談して、正しい金額に修正してもらうことになるでしょう。
ただ、あなたに落ち度がなくても、間違えていた期間すべての固定資産税が修正されて返金されるとは限りません。
そんなときに知っておきたい、役所が教えてくれない損をしないための方法をお伝えします。
✅固定資産税の課税ミスは9割以上の自治体で発生している
✅納税通知書を登記簿や現況と比較しよう
✅納税通知書におかしい部分があれば自治体へ相談しよう
✅固定資産税が修正されるのは5年分まで
✅5年を超えて返金してもらえる可能性があるので要確認
これらの結論をもとに、順番に解説していきますね
意外と多い固定資産税の課税ミス
固定資産税は、毎年5月ころに自治体から納税通知書が送られてきます。
その税額は、1月1日現在の情報をもとに自治体が計算しています。
自治体で計算しているからと、計算された固定資産税に間違いはないのではないかと思っているのではないでしょうか。
しかし、固定資産税は、決して誤りのない税金ではありません。
自治体が計算しているんだから、ゼロじゃなくても間違いは多くはないんじゃないの?
それが以外にも間違いは少なくないんだよ
固定資産税の課税ミスは全体の97%で発生⁉
平成24年度に総務省がおこなった調査では、平成21年度から平成23年度までの3年間について、固定資産税の税額修正についての結果が公表されました。
年間1件以上税額の修正があった自治体は、それぞれの年度で全体の93%ほどとなっていました。
3年間の累計では、全体の97%の自治体で、固定資産税の課税誤りにより修正が発生していました。
年度 | 税額修正団体数 | 団体数割合 |
---|---|---|
平成21年度 | 1,483団体 | 93.2% |
平成22年度 | 1,485団体 | 93.3% |
平成23年度 | 1,484団体 | 93.2% |
累計 | 1,544団体 | 97.0% |
けっこう間違いがあるんだね~
少し古い調査結果だけど、間違いが少ない税金ではないね
どうやって間違いを見つければいいの?
固定資産税は、あなたが所有している土地や家屋にかかります。
次のような目線で固定資産税に間違いがないかを確認するとよいでしょう。
登記簿と違うところはないか
家屋は登記されていないものがありますが、土地は基本的に登記がなされています。
あなたが所有している不動産が登記されているのであれば、登記簿と違っているところがないかを確認してみましょう。
○土地
・地積は登記と課税は同じか
・地目は登記と課税は同じか
※地目については、現況が変わっている場合、登記と現況が違う可能性があることに注意してください
○家屋
・面積は登記と課税は同じか
・構造は登記と課税は同じか
・屋根は登記と課税は同じか
まずは登記簿の内容とくらべればいいんだね
現況と内容があっているか
○土地
・現況と課税の地目はあっているか
※1月2日以降に現況を変えた場合や自治体への届け出が遅れた場合には、次年度に反映される可能性があります。
○家屋
・取り壊しした家屋が課税されていないか
※滅失登記をしていない場合には、自治体へ届け出が必要になります。
あなたが所有している不動産の状態と納税通知書の状況があっているをよく確認しましょう
手放した不動産が納税通知書に書かれていないか
・売却や贈与などをした不動産が記載されていたら要確認
※1月1日までに登記が間に合わなかった不動産や1月2日以降に手放した不動産は、次年度に反映される可能性があります。
手放したのに課税されることもあるんだ⁉
手続きの完了時期が影響する場合はあるけど、念のため自治体へ確認しておきたいね
違和感やおかしなところがあれば自治体へ問い合わせしよう
もしも、あなたが納税通知書を見て、違和感やおかしな部分に気づいたら、納税通知書を送付した自治体へ、固定資産税が間違えていないか問い合わせしてみましょう。
問い合わせをするときには、お住いの自治体ではなく、その不動産がある自治体へ問い合わせる必要があります。
どうやって問い合わせすればいいのかな~?
電話や直接窓口へ行って確認することが多いかな
電話で自治体へ問い合わせる場合には、納税通知書に記載されている問い合わせ先を確認しましょう。
問い合わせする際には、納税通知書を見ながら、具体的におかしいと思うところを伝えるといいですね。
窓口を直接訪ねる場合も、納税通知書に記載されている問い合わせ先を確認しましょう。
自治体によって、税務課や資産税課のような部署が窓口の場合や、市税事務所などを設けているところがあります。
アクセスや開設時間などは、自治体のホームページを確認しておくといいですね。
窓口を訪ねる際は、納税通知書などの書類を持参しましょう。
また、登記簿や不動産の写真など、1月1日現在の不動産の状況がわかるものがあると、なお良いと思います。
写真とかは持っていくほうがいいの?
絶対ではないけど、写真などがあるなら話がスムーズに進みやすいと思うよ
誤りがある場合には課税の修正をしてもらおう
固定資産税は、納税通知書が送付されてから3か月の間であれば、不服審査を申し出することができます。
ただし、この不服審査は、基本的に固定資産税の価格に関する事項が対象となります。
次のような場合は、不服審査の対象とはなりません。
- 納税義務者にあたるか
- 課税客体にあたるか
- 非課税にあたるか
- 課税標準の特例が適用されるか
- 減免されるべきか
固定資産税が間違えていそうでも、全部が不服審査の対象になるわけじゃないんだ~
基本的には、価格に関する部分が不服審査の対象になるよ
不服審査の対象にならない部分が間違えているということは多いと思います。
不服審査の対象となる内容かどうかに関わらず、まずは自治体の担当部署へ間違いを修正してもらうように伝えて、固定資産税を修正してもらいましょう。
固定資産税に明確な間違いがあるなら、地方税法417条の規定をもとに、基本的には固定資産税を修正してもらえます。
※ただし、価格等自体に影響のない軽微な間違いの場合には、翌年度での修正となることがあります。
もしも、あきらかに間違えているのに、修正を渋られるような場合には、内容に応じて不服審査や訴訟などの手段を検討することになります。
あきらかに間違えているなら、直してもらえるんだね
影響がほとんどない軽微な間違いの場合は、翌年度から修正されることもあるよ
固定資産税は5年前までしか修正できない
もしも、固定資産税に間違いがあったら、何年前までの間違いまで修正してもらえるのでしょうか。
税金をきちんと支払っている立場からすれば、すべての間違いが修正されて、多く納めてきた税金が返金されるのが当たり前と思いますよね。
ですが、間違いがあっても、固定資産税を修正できる期間は、地方税法という法律で5年間と決められています。
え?
ずっと間違えてても、5年までしか直してもらえないの?
法律では5年間までと決められてしまっているんだよ
正確には、法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日以降には、税金の修正をすることができません。
⭕法定納期限とは…固定資産税においては、第1期の納期限
5年を超える期間の間違いがあっても、地方税法に従えば、固定資産税は最大で5年度分しか修正されないんですね。
これは、税金を多く集められていた場合、少なく納められていた場合のどちらの場合でも、5年間という期間は変わりません。
税金が増えるように直すときも、最大5年分ってこと?
税金が多くなる場合、少なくなる場合、どちらの修正でも最大5年間分だよ
自治体によっては、5年超の返金が可能な場合あり
お伝えしたとおり、地方税法に基づく修正は、5年間の分までしか行われません。
でも、あなたに落ち度がないのに、納めすぎた税金がすべて返金されないのは、なかなか納得できませんよね。
しかし、自治体によっては、独自に要綱を設けて、5年を超える分を返還できるようにしているところがあります。
※さまざまな自治体で要綱を設けているので、あなたがお住いの自治体にも要綱がないか確認してみましょう。
5年を超えても返金してくれるところがあるんだね!
全部の自治体ではないけど、要綱を設けているところは返金してもらえるかもしれないね
自治体によって、返金ができる期間や手続き方法は若干違います。
昔からの固定資産税の間違いを見つけた場合には、自治体ホームページに載っている例規集を確認したり、自治体へ問い合わせたりなどして、5年超の返金が可能かを確認してみてください。
なお、自治体側の瑕疵(かし)といえない間違いの場合には、地方税法に規定に基づく5年分までしか返金されない可能性があります。
え?
やっぱり返金されないの?
自治体側のミスが原因の場合などは、返金してもらえる可能性があるね
要綱が設けられていない場合は?
もしも、自治体が要綱を設けていないは、どうすればいいのでしょうか。
民法の規定を使って、5年を超える返金をしている自治体もあるようです。
しかし基本的には、訴訟等により自治体を相手に損害賠償請求をすることになるでしょう。
間違いで修正される金額やミスの規模などと、訴訟を起こす費用や手間などを天秤にかけて、どのように対応していくか判断する必要がありますね。
金額によっては、訴訟するほうが費用がかかる場合もあるよね
最終的には、費用や手間を考えて決断することになってしまうね
まとめ
固定資産税が間違っていないか見直してみるね!
そうと決まれば「猪突猛進!」
固定資産税に間違いがあったときに、損をしない知識を持つようにしたいね
住民の信用の低下や訴訟対応の手間などをできる限り抑えるために、要綱を設けている自治体はそれなりにあります。
ただ、よほどのことがなければ、窓口などでも要綱の存在を教えてもらえることは多くないでしょう。
知っているか知らないかで、何年分もの税金を損してしまう可能性があるので、要綱の存在をぜひ頭の片隅に置いておいてください。
もしもが起きた際に、この情報がお役にたてばうれしく思います。
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