フリーランスや個人事業主が、必ずぶつかる壁は確定申告です。
控除が多いなどの理由で、計算上では所得税がかからない年があると思います。
そのときに税務署などへ、確定申告が必要かを確認すると、所得税が発生しなければ確定申告はいらないと話をされることがあります。
でも、青色申告者が、この言葉を信じて確定申告をしないと、所得税以外の税金や公的な料金で損をしてしまうことがあります。
なぜ「確定申告をしなくていい」という言葉を信じてはいけないかを解説していきます。
✅所得税がかからなくても所得が発生しているなら確定申告をしておこう
✅所得税がかからなくても、住民税や国民健康保険料などが高くなる可能性あり
✅住民税がかかることで、公的料金が高くなったり、給付をうけられない可能性あり

これらの内容について、順番に解説していきますね
所得税がかからないと確定申告をしなくていいと言われるの?
その年の所得が少ない場合や、控除が多くて所得税がかからない場合に、税務署や税理士の先生などに相談すると、所得税がかからないなら確定申告をしなくていいとアドバイスされることがあります。
所得税の視点で見れば、控除額以下の所得しかない場合などでは、確定申告をしたところで所得税がかからないため、このようなアドバイスになるのでしょう。
ただ、所得税の確定申告が影響するのは、所得税だけではありません。
所得税以外への影響を知っておかないと、損をするのはあなたですよ。

え?
所得税がかからないなら、確定申告しなくてもいいんでしょ?

たしかに所得税はかからないのかもしれないね
ただ、確定申告は、所得税だけに影響するわけじゃないんだよ
65万円の青色申告特別控除を受けるには確定申告が必要
青色申告特別控除には、10万円、55万円、65万円の3つの金額の控除があります。
そのうち、55万円と65万円の青色申告特別控除は、その年分の確定申告期限までに必要な手続きを踏まなければ、受けることができません。
青色申告特別控除の適用については国税庁のチラシを確認⇩
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0021010-076.pdf
つまり、あとから55万円または65万円の青色申告特別控除を受けたくても、受けることができないので、あらかじめ確定申告をしなければいけないのです。
ただし、10万円の青色申告特別控除は、確定申告期限内の申告でなくても適用はできます。

あとから青色申告特別控除を受けたいと思っても、適用してもらえないのか~

10万円の青色申告特別控除は、あとからでも受けられるよ
ただ、65万円や55万円の青色申告特別控除を受けたいなら、確定申告期限内に確定申告で手続きする必要があるね
所得税がかからなくても、確定申告書を送ってしまおう
税務署の担当から、確定申告書を提出しなくていいと言われても、確定申告書を提出してしまいましょう。
所得税0円の確定申告書を書面で、直接渡そうとすると、受け取ってもらえないことがあるかもしれません。

所得税が0円だからって、受け取ってもらえないことがあるの?

受付ける担当者によっては、所得税がでないなら確定申告書を受け取らず、自治体の住民税申告をしてくれと案内する人もいるよ
そのときは、確定申告書を郵送で送ってしまいましょう。
郵送で届く申告書まで突き返すことまでは、さすがにしないでしょう。
ただ、できるならe-TAXで電子申告をして、65万円の青色申告特別控除を受けるのが望ましいですよ。

担当の人に渡さないで、直接送っちゃえばいいのか~

税務署の方も、e-TAXや郵送で送られてきたものまで、受け付けないということはないと思うよ
所得税に影響がなくても、住民税や国民健康保険料などが高くなる
青色申告特別控除を受けなくても、控除の範囲内の所得しかなければ、所得税はかかりません。
多少所得があったとしても、税務署から指摘される可能性は低くなるかもしれません。
ただ、住民税や国民健康保険料などは、そうではありません。
フリーランスや個人事業主で、確定申告も住民税申告もしていない人は、住民税未申告者になります。

給料をもらっている人も、確定申告や住民税申告をしないと、住民税未申告者になるのかな~?

給与や年金は、給与支払報告書という資料が自治体に提出されるから、住民税未申告にはならないよ
ただ、それ以外の所得だと、なにも資料がいかないから、申告をしないと未申告者になってしまうんだ
その場合、役所で必要な手続きを受けることができなかったり、国民健康保険料の軽減措置を受けることができないなど、マイナスの影響が出てきます。
住民税や国民健康保険料が高くかかって、そこでようやく確定申告や住民税申告しても、55万円や65万円の青色申告特別控除を受けることができません。
この所得が一定の基準以上の金額だと、所得より控除のほうが多い場合でも、住民税の均等割りがかかります。
また、所得多くなると、国民健康保険料軽減措置を受けることができません。
あとから気づいても、住民税や国民健康保険料を最大限安くすることは、もうできないのです。

あとから確定申告しても、損をしてしまうんだね~

住民税や国民健康保険料を最大限安くすませたいなら、あらかじめ確定申告で青色申告特別控除を受けておく必要があるよ
住民税非課税世帯でなくなると公的支援も受けられなくなる
住民税がかかってしまうことで非課税世帯でなくなると、公的な料金が高くなったり、公的な補助を受けにくくなったりします。
国民健康保険の高額療養費
69歳以下の世帯であれば、世帯の国民健康保険加入者全員が住民税非課税なら、35,400円が月の医療費の上限になります。
しかし、住民税課税者となるだけで、上限が最低57,600円、所得が多くなれば、この上限がさらに増えてしまします。


住民税非課税かそうじゃないかだけで、医療費の限度額が変わっちゃうんだね~

住民税非課税世帯だと限度額が下がるし、住民税が課税される場合でも、所得は下げられたほうが有利だね
奨学金の区分
奨学金は、市区町村民税の所得割などによって、支援区分が決まります。
所得税と住民税では控除の金額が違うため、所得税がかからなくても、住民税はかかってしまうということが起こります。
これにより、かかってしまう住民税の金額によっては、奨学金の支援区分が変わってしまい、受けられる奨学金が変わってしまうことがあります。


奨学金にも影響がでちゃうんだね~

奨学金を借りる予定のお子さんがいる場合は、注意が必要だね
非課税世帯への給付
国や自治体から、物価高騰などに対する給付金が支給されることがあります。
どの範囲の人に給付するかは、その給付金など違いますが、非課税世帯が給付の対象になることは多くなります。
住民税が課税されてしまうと、非課税世帯への給付が受けられませんし、給付を受けられるとしても、非課税世帯よりも給付額が低くなる可能性が高くなります。
住民税非課税世帯は、国や自治体の給付金の対象になりやすい
ほんの少しの違いで、もらえる給付金に数万円~数十万円の違いが出る可能性があるのです。
高額療養費制度や奨学金、国や自治体からの給付は、あくまで一例です。
お住まいの自治体や年齢、世帯構成によっては、保育料や公営住宅料、介護保険など、ほかの制度にも影響が出る可能性があります。
同じ収入状況でも、住民税非課税世帯になるか課税世帯になるかで、給付が大きく変わる可能性があるので、住民税非課税世帯になれる基準は確認しておきましょう。

住民税が課税されると、いろいろな制度で損をしてしまう可能性があるんだね~

これらの制度で損をしないように、所得税がかからなくても確定申告をして、青色申告特別控除を受けておきたいね
まとめ
✅青色申告者は、所得税がかからなくても確定申告しておこう
✅確定申告書は対面で提出しないで、e-TAXや郵送で提出しよう
✅確定申告をしないと、住民税や国民健康保険料が高くなる可能性あり
✅住民税が課税されると、いろいろな制度で損をしてしまうかも

S先生ありがとう!
所得税がかからないから、確定申告をしないところだったよ!
所得税以外で損をしないように、さっそく確定申告する準備をしてくるよ!
そうと決まれば「猪突猛進!」

確定申告は、所得税以外にも影響があります。
所得税がかからない場合でも、確定申告をして青色申告特別控除を受けて、所得税以外で損をしないように、気をつけてくださいね
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