さまざまな理由で、お持ちの不動産を手放すことがありますよね。
そのときに、残りの固定資産税は、誰が支払うのかと疑問に思うのではないでしょうか?
年の途中で不動産を売却する場合に、固定資産税の支払いについて知っておかなければ、購入者の方とトラブルになる可能性があります。
そのようなことにならないように、ファイナンシャルプランナーのSが、売却後の固定資産税について解説します。
相談
このたび、自宅を売却して引っ越すことを考えています
売却の準備を進めていたのですが、年の途中で不動産を売却した場合に、残りの固定資産税を誰が支払うのか疑問が出てきました
私が支払うのか、購入者が支払うのか、のちのちトラブルになりたくないので、固定資産税の取扱いについて教えていただけませんか?
ご自宅の売却を検討されているのですね
その場合に、固定資産税の取扱いは悩むところかと思います
固定資産税の法律上の決まりや、トラブルにならないための方法についてお伝えしていきます
前提条件
✅年齢:50歳
✅家族構成:妻、長男
✅保有不動産
○家屋(住宅)、床面積:120m、固定資産税相当額:6万円
○土地(宅地)、地積:250m、固定資産税相当額:6万円
※家屋、土地共に法務局へ登記されている
✅固定資産税額:12万円(3万円を4期で支払い)
✅固定資産税納期限:第1期 5月31日、第2期 7月31日、第3期 10月31日 第4期 12月30日
✅納付済み額:6万円(第2期まで納付済み)
✅売却予定時期:8月31日
今年度の固定資産税は、年額で12万円かかっています
そのうち、5月末期限の第1期、7月末期限の第2期の合計6万円を納付済みの状況です
固定資産税の残りの支払いは6万円分ありますが、残り2期6万円分を私が支払うのか、購入者が支払うのか、それとも月割などで支払うのかがよくわかりません
第2期分まで納付済みということですね
まずは、固定資産税の法律上の取扱いから確認していきましょう
固定資産税の支払い義務は1月1日時点の所有者にある
固定資産税は、地方税法に基づき、1月1日時点の不動産の所有者に対してかかります
これは、年の途中で不動産を売却したとしても変わりません
そうなると、残りの固定資産税は、私が支払う必要があるということですか?
年の途中で不動産を手放しているのに、固定資産税が私にかかるのは、あまり納得できないですね
役所は、そうまでして税金を取りたいのでしょうか…
(固定資産税の納税義務者等)
第三百四十三条 固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。
(固定資産税の賦課期日)
第三百五十九条 固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。
地方税法より引用
今年度の固定資産税は、相談者様に支払い義務があります
ただ、今年度分の固定資産税を相談者様が払うとしても、相談者がより多くの税金を取られているということではありませんよ
どういうことでしょうか?
不動産を手放すときは、年の途中であっても今年度分の固定資産税の支払いをする必要があります
では、不動産を取得されたときはどうだったでしょうか?
不動産を取得したのがだいぶ前だったので、よく覚えていないですね
たぶん月割りで支払っていたのではないでしょうか…
法律上の取扱いとしては、年の途中で不動産を取得しても、その年から支払い義務は発生しません
固定資産税は、不動産を取得された翌年から相談者様名義でお支払いされているはずですよ
固定資産税は、不動産を取得した翌年から不動産を手放した年までかかる(1月1日の場合を除く)
そうだったかもしれません…
たしかに、不動産を取得したときに、翌年から固定資産税がかかっているのであれば、手放したときにその年まで固定資産税がかかるのはおかしい話ではないですね
契約の中で固定資産税の負担を取り決めしよう
やはり私が今年度の固定資産税をすべて支払うしかないようですね…
ここまでは、固定資産税の法律上の取扱いについてお話ししてきました
固定資産税の納税義務を変えることはできませんが、残りの税金を誰が負担するかは、お互いの話し合いで決めることができますよ
どのようにすれば、そのようなことができるのですか?
契約書を交わす際に、固定資産税の負担について契約書へ盛り込むという方法があります
固定資産税の費用負担は、契約の中で定めよう
それは、購入者の方に断られたりしないのでしょうか?
そこはお互いの状況や交渉しだいですね
購入者によっては、固定資産税の負担によってお断りされることはあるかもしれませんが、交渉してみる価値はあると思いますよ
契約をしてから話を出すのはよくないでしょうか?
契約後に新たな費用が発生してしまうと、トラブルになってしまう可能性があるので、契約の前に話をしておくといいですね
残りの固定資産税の負担割合は、どのように決めればいいのでしょうか?
日割りや月割り、期限の来ていない残りの納期分を支払ってもらうなどの方法があります
その中から、お互いが納得できる方法を決めるのがいいでしょう
固定資産税の残額は納税義務者が支払おう
固定資産税の負担について取り決めをしたら、購入者の方へ納付書を渡して支払ってもらえばいいですよね?
相手の方が残りの固定資産税を負担してくれることになっても、相談者様ご自身でお支払いされることをおすすめしますよ
それはなぜですか?
仮に購入者の方が、固定資産税を納め忘れた場合にも、支払い義務は納税義務者である相談者様にあります
督促状が届いたり、状況により督促手数料や延滞金がかかったりと、対応をするのは購入者ではなく相談者様となるので、税金のお支払いはご自身でなされるのがいいと思います
税金を納めていないのが購入者の方だとしても、私に影響が出てくるのですか?
あくまで、納税義務は相談者様にあるので、相談者様への影響は避けられません
購入者と無用なトラブルを避けるためにも、相談者様ご自身で税金のお支払いをされることをおすすめしますよ
固定資産税の支払い自体は、納税義務のある人が行おう
できるだけ余計なトラブルは避けたいので、契約に基づいて費用を頂戴して、私が固定資産税を支払うようにします
面倒に感じるかもしれませんが、のちのちのトラブルを避けるために、その対応が良いと思います
まとめ
固定資産税は1月1日時点所有者が支払う
年の途中で不動産を売却しても、納税義務者は途中では変わらない
必要に応じて、契約の中で固定資産税の費用負担を決めよう
トラブルを避けるために固定資産税の残額は納税義務者自身で支払おう
ありがとうございました
不動産売却の際に、固定資産税でのトラブルを避けられそうです
購入者の方とも、きちんと話をしながら進めていきます
不動産売却時の固定資産税は、トラブルになるケースがあります
法律上の取扱いや契約の中で対応できる内容を押さえて、トラブルなく売却を進めることができたらいいですね
ほかにもご質問があれば、コメントやお問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせくださいね!
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