こんにちは!
2級FP・AFP認定者のSです。
この記事では、みなさんが普段疑問に思っている内容や、言葉だけ聞いてもよくわからないお金の疑問にお答えしていきます。
お金の知識には、知らないだけで損をしてしまうことが多いので、この記事を読んでいただいているあなたへ、お金の知識を届けていけたら嬉しく思います。
相談
住民税の通知書を確認していて、確定申告の際に医療費控除を申告するのを忘れていたことに気づきました
医療費がかなり多くかかっているので、控除を追加で申告することで税金はどうなるのでしょうか?
住民税は非課税になりますか?
確定申告をされた際に、医療費控除の申告が抜けていたのですね
あらためて医療費控除を追加することで、税金がどのように変わるのかを一緒に見ていきましょう
前提条件
✅家族構成:父、母、相談者様
✅年齢:50歳(父)、母(47歳)、相談者様(23歳)
✅職業:会社員(父)、専業主婦(母)、相談者様(アルバイト)
※母は父の税上の扶養になっている
相談者様の確定申告の状況
内容 | 金額 |
---|---|
給与所得① | 90万円 |
所得控除の合計額② | 85万円(78.4万円) |
課税総所得(①-②)③ | 5万円(11.6万円) |
所得税額(復興特別所得税含む)④ | 2,500円 |
住民税額(均等割・森林環境税含む)⑤ | 14,000円 |
追加する所得控除
内容 | 控除額(医療費の合計額) |
---|---|
医療費(医療費控除の対象となる費用の合計) | 15.5万円(20万円) |
昨年に手術と入院があり、医療費が高額になりました
確定申告をしたのですが、医療費控除を申告し忘れていたんです
所得税で更正の請求というものができることを知ったので、医療費控除を追加しようと考えています
医療費が多いので、手続きをすることで所得税・住民税を減額できそうですね
ただ、住民税については、計算が若干特殊なので注意しましょう
所得よりも所得控除が多くなれば所得税はかからない
私の場合、所得税の更正の請求をすると、どのようになるのでしょうか?
相談者様の場合、所得金額-所得控除額の5万円に対して、所得税と復興特別所得税がかかっています
医療費控除を追加することで、所得金額よりも所得控除額が多くなり、所得税はかからなくなりそうですね
所得税の内容 | 金額(変更前) | 金額(変更後) |
---|---|---|
給与所得① | 90万円 | 90万円 |
所得控除の合計額② | 85万円 | 105万円 |
課税総所得 (①-②)③ | 5万円 | 0万円 |
所得税額(復興特別所得税含む)④ | 2,500円 | 0円 |
医療費控除をすることで、支払った医療費が戻ってくるということで合ってますか?
残念ですが、医療費控除を追加することで、医療費が戻ってくるわけではありません
医療費控除を追加することで返金されるのは、払い過ぎになっている所得税です
それだと、いくら戻ってくるんですか?
相談者様の場合だと、所得税では支払い済みの2,500円が戻ってくる可能性がありますね
意外と所得税の戻り金は少ないんですね
所得税の更正の請求の手続きをすれば、住民税にも反映される
ほかにも住民税がかかっているので、自治体の窓口へ行って申請しないといけないですか?
所得税の確定申告や更正の請求などの手続きをすることで、税務署から自治体へ情報が共有されることになります
タイムラグはありますが、あらためて自治体の窓口へ手続きする必要はありませんよ
地方税法
第三百十七条の三 第二百九十四条第一項第一号の者が前年分の所得税につき所得税法第二条第一項第三十七号の確定申告書(以下本条において「確定申告書」という。)を提出した場合(政令で定める場合を除く。)には、本節の規定の適用については、当該確定申告書が提出された日に前条第一項から第四項までの規定による申告書が提出されたものとみなす。ただし、同日前に当該申告書が提出された場合は、この限りでない。
そうなんですね⁉
どれくらいのタイムラグがあるんですか?
電子データでのやり取りが進んでいるので、だいぶタイムラグは少なくなっていますが、時期によっては、確定申告等の手続きから住民税に反映されるまで3か月以上かかることもありますね
はやく住民税に反映させたいときは、どうすればいいんですか?
その際は、確定申告書や更正の請求書などの写しを持って自治体窓口へ行き、住民税申告をしましょう
課税証明書が必要な場合など、急いでいる場合は直接自治体の窓口へ行くのが早いですね
医療費控除が増えても住民税は非課税にならない
私の場合、所得税は全額戻ってきそうなので、住民税も同じように全額戻ってきますか?
所得税と住民税では、税金の計算方法が若干違います
住民税は減額されると思いますが、今回のケースでは全額は減額されないですね
なんで全額が減額されないんですか?
住民税は、所得割と均等割で構成されています
所得割は、総所得金額等が一定の基準以下の金額の場合か、所得金額よりも所得控除額が多い場合にはかからなくなります
一方、均等割については、合計所得金額が一定の基準額以下にならないとかかってしまいます
今回のケースでは所得控除額が増えても、合計所得金額に影響しないので、均等割はなくならないのです
なんか難しいですね
確定申告等で所得控除が増えても、均等割はかかるということですか?
所得控除が増えることで、住民税自体が非課税になる場合はあります
それが次のようなケースです
下記のどちらの要件にも当てはまる場合に住民税が非課税になる
要件1:未成年者(18歳以下)に該当しているか障害者控除(本人)、ひとり親(寡婦)控除を受けている
要件2:合計所得金額が135万円以下
これに該当する場合には、住民税がかからなくなるんですか?
はい
仮に所得税に影響がなくても、住民税に影響が出る場合があるので、控除の申告を忘れないようにしたいですね
住民税はどれくらい減額される?
私の場合、住民税はゼロにはならない思いますが、どれくらい安くなるんですか?
医療費控除は、10万円か所得の5%のいずれか低い金額を超えた医療費が対象になります
相談者様の場合は、90万円の5%の4万5千円を超えた金額が医療費控除の対象となります
実際にどれくらい住民税が安くなるかを住民税シミュレーションシステムを使って見てみましょう
住民税シミュレーションシステムについては、こちらの記事を確認⬇️
もとが1.4万円だったので、9千円くらいは安くなりそうなんですね
医療費がもっとかかっていれば、もっと住民税が安くなったんですか?
医療費控除が適用されることで、相談者様の住民税の所得割は0円になりますが、均等割が残ることになります
均等割は、医療費控除がこれ以上増えても、これ以上安くはなりませんね
さっき説明してもらった、非課税の基準に当てはまらないと、均等割は減らないってことですね
この減額される住民税が戻ってくるんですか?
返金されるかどうかは、すでにお支払い済みの金額によります
お支払い済みの住民税が、減額後の金額よりも多ければ差額が戻ってきますし、減額後の金額よりも少なければ差額分の支払いが必要になります
返金されるのか差額の支払いが必要なのかは、一度、自治体の住民税担当の部署へ確認されることをおすすめしますよ
まとめ
✅忘れていた控除を追加すれば所得税が安くなる可能性がある
✅医療費控除の追加で住民税の所得割が安くなる可能性がある
✅所得金額より所得控除額が大きくなっても住民税の均等割は減額にならない
✅どれくらい住民税が返金されるかは、自治体の担当へ確認しよう
ありがとうございました
医療費控除を追加すれば、所得税や住民税が全額戻ってくると思っていましたが、そういうわけではないんですね
でも、減額になる金額も小さくないので、手続きを進めていこうと思います
住民税が非課税になる基準は、少しわかりづらいかもしれませんね
非課税にはならないかもしれませんが、住民税が安くなる可能性はあるので、年末調整や確定申告で入れ忘れた控除があれば、控除を追加する手続きをしてみましょう
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